苦しみは何人(なんぴと)も共にし易い。そこには嫉視と羨望の、浅ましい人間意識を用うる必要なき、同情のみの世界を見出すからであろう。ゆえに苦境に沈淪(ちんりん)した場合は、他人と雖(いえど)も互いに親しみ合う、美しい世界が実現されてゆく。