天上天下唯我独尊ということを侠客(きょうかく)者流など広言を吐いて、天下ひろしといえども、我に如(し)くものなしなどというとおなじく、釈子の自慢とおもうものあり。これ誤りなり。これは釈子のみならず、世界みな、我も人も、ただこれ、我こそ天上にも天下にも尊きものなれ、我にまさりて尊きものは、かならず無きという教訓の言葉なり。