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尾崎一雄

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尾崎一雄は日本の短編小説家であり、昭和期の心境小説を代表する作家として著名です。芥川賞受賞作の『暢気眼鏡』、『虫のいろいろ』、『美しい墓地からの眺め』などが有名です。実家は神奈川県小田原市の宗我神社の神官を務めた一族だったこともあり、小説の中に飄々とした自然や生き物への想いが詰め込まれています。

どう居直るか、負数に負数を掛けてプラスにしてやるのだ。僕はできないというそのことを、しない、ということに変化させるのだ。
人間があり、生活があって、やがて芸術がある。
じたばたしたら、悪い時は更に悪い時を呼ぶ。
人間には、他人の幸せを喜ぶ気持ちがあると共に、場合によっては、他人の不幸を喜ぶ、という一面がある。人間とは、そうした矛盾の上に生きている者らしい。
生きるということは、坂道をゆくのとそっくりだ。元気に任せて駆け出したりすれば、きっとへたばる。
一切の気取りと、背伸びと、山気(やまき)を捨て、自分はこれだけの者、という気持ちでやろう。
疲れたら憩(やす)むがよい、彼等もまた、遠くはゆくまい。
生きている間だけ生々(せいせい)と生きる。
何か事態が悪化すると、来るなら来い、と最悪の場合を想定し、川を背にして構える。精神の小出しの消耗を避けるには適した戦法である。