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谷崎潤一郎

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谷崎潤一郎は小説家であり、人間の情欲や時代風俗などをテーマに当時の社会において芸術性のある文章を書く文豪として多くの楽しみを世に送り出した。また、ミステリー・サスペンスの先駆的作品や活劇的な歴史小説なども多く手がけ、今日でも多く作品が残されている。

誰しも「怠け者」と言われて名誉に思う者はないが、年中あくせくと働く者を冷笑し、時には俗物扱いする考えは絶無ではない。
人間はとしをとるにつれて、一種のあきらめ、自然の理法にしたがって滅んでゆくものをたのしむといった風な心境がひらけてきて、しずかな、平均のとれた生活を欲するようになるのですね。
死ぬということは、生きているよりいやなことです。けれども、喜んで死ぬことが出来れば、くだらなく生きているよりは幸福なことです。
いい宝石は泥土に投げ捨て、火の中へ燻(く)べても固有の輝きを失わない。
自分の欲望を制すれば成功し、自分本位では失敗するということ。人間が言葉を使うと同時に、言葉も人間を使うことがある。
どんな人間でも、大概一生に一度はその人間に相応した花々しい時期というものがある。
筋の面白さは、言ひ換えれば物の組み立て方、構造の面白さ、建築的の美しさである。
恋愛は芸術である。血と肉とを以って作られる最高の芸術である。
悲しい時には、桜の花の咲くのを見たって涙が出るんだ。
女を慕(しと)うて死ぬという事は、いろいろの死に方のうちで最も楽しい死に方である。
議論を吹っかける場合には、わざと隙間を拵(こさ)えておくほうが良いんです。そうしないと敵が乗って来ないんです。
意地の悪い人間は、その意地悪さを発揮する相手がいないと寂しいに違いない。
美は考えるものではない。一見して直に感ずる事の出来る、極めて簡単な手続きのものだ。
だれしも離別は悲しいものにきまっている。それは相手が何者であろうとも、離別ということ自身のうちに悲しみがあるのである。
女の顔は男の憎しみがかかればかかる程美しくなる。
恋というのは一つの芝居なんだから、筋を考えなきゃ駄目だよ。
分からせるように書くと云う一事で、文章の役目は手一杯なのであります。