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橘曙覧

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橘 曙覧は、幕末期の歌人、国学者である。2歳から母親に死別し、15歳で父親が死去したことから、家督を弟の後に譲り、隠遁した。京都の頼山陽の弟子、児玉三郎の家塾で学び、飛騨高山の田中大秀に入門した。和歌の他に、文書、歴史など多くの分野で活躍した。

たのしみはそぞろ読み行く書の中にわれとひとしき人を見し時
たのしみは珍しき書(ふみ)人に借りはじめ一ひらひろげたる時
たのしみは朝起きいでて昨日までなかり花の咲ける見る時
たのしみは心にかのう山水のあたり静かに見てありく時
たのしみは妻子(めこ)睦(むつ)まじく打ち集(つど)いかしらならべて物を食う時
たのしみは空暖かにうち晴れし春秋の日に出(い)でありし時
たのしみは物識人に稀に逢いていにしえ今を語り合う時
たのしみは常に見なれぬ鳥の来て軒遠からぬ樹に鳴きし時
たのしみは三人の子供すくすくと大きくなれる姿見る時
たのしみは稀に魚(うお)煮て子等(こら)皆(みな)がうましうましといいて食う時
たのしみは人も訪い来ず事もなく心を入れて書を見る時