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吉田兼好

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吉田兼好は鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての歴史上の人物で、官人・遁世者・歌人・随筆家として知られている。彼は卜部氏の系譜に属し、『徒然草』を作成している。また、中学校国語の検定済み教科書に「兼好法師」と表記されている。

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり。悪人の真似とて人を殺さば、悪人なり。
下戸(げこ)ならぬこそ、男(をのこ)はよけれ
無益(むやく)のことをなして、時をうつすを、愚かなる人とも僻事(ひがごと)共いふべし
百薬の長とは言へど、万(よろず)の病は酒よりこそ起これ。
誉(ほまれ)はまた毀(そし)りの本(もと)なり
よき細工は、少し鈍き刀を使う
四季は、なほ、定まれる序あり。死期は序(ついで)を待たず。死は前よりしも来たらず、かねて後(うしろ)に迫れり。人皆死ある事を知りて、待つことしかも急ならざるに、覚えずして来る。
一時の懈怠、即ち一生の懈怠となる。
第一の事を案じ定めて、その外は思ひ捨てて、一事を励むべし
一事を必ずなさんと思わば、他の事の破るるをもいたむべからず。人の嘲りをも恥ずべからず。万事に換えずしては、一の大事成るべからず。
偽りても賢を学ばんを賢といふべし。
よろずにいみじくとも、色好まざらん男は、いとそうぞうしく、玉(たま)の巵(さかずき)の当(そこ)なきここちぞすべき
寸陰惜しむ人なし。これ、よく知れるか、愚かなるか。
よき友三つあり。一つには物くるる友。二つには医師(くすし)。三つには智恵(ちえ)ある友。
心なしと見ゆる者も、よき一言はいふものなり。
命(いのち)長ければ辱(はじ)多し。
花は盛りに月は隈(くま)なきをのみ見るものかは
何事も、珍しき事を求め、異説を好むは、浅才の人の必ずある事なり。
大欲(たいよく)は無欲に似たり。
おのれすなおならねど、人の賢みてうらやむは世の常なり
後(あと)は誰にと心ざす物あらば、生けらんうちにぞ譲るべき
音(おと)に聞くと、見る時とは何事も変(かわ)るものなり
人皆生を楽しまざるは、死を恐れざる故なり。死を恐れざるにはあらず、死の近き事を忘るゝなり。
万(よろず)の事は頼むべからず。愚かなる人は、深く物を頼む故(ゆえ)に、怨み、怒る事あり。
勝たんと打つべからず。負けじと打つべきなり。
世の人の心惑はす事、色欲には如(し)かず。人の心は愚かなるものかな。
折節(おりふし)の移り変わるこそ、ものごとにあはれなれ
一日の命、万金(ばんきん)よりも重し
己(おの)が分(ぶん)を知りて、及ばざる時は速かに止むを、智といふべし。許さざらんは、人の誤りなり。分を知らずして強ひて励むは、己れが誤りなり。
世は定めなきこそいみじけれ。
吉凶は人によりて日によらず。
何事も期待せぬ事。それが肝心。
おのれが境界にあらざるものをば、争うべからず、是非すべからず。
何方(いずかた)をも捨てじと心に取り持ちては、一事も成るべからず。
友とするに悪(わろ)き者七つあり。一つには高くやんごとなき人。二つには若き人。三つには病なく身強き人。四つには酒を好む人。五つにはたけく勇める兵。六つには虚言する人。七つには欲深き人。
命は人を待つものかは
人の身に止(や)むことを得ずして営む所、第一に食物、第二に着るもの、第三に居る所なり。
少しのことにも、先達(せんだつ)はあらまほしき事なり。
三つの石を捨てて、十の石につくことは易し。十を捨てて、十一につく事は難(かた)し。
世間の浮説(ふせつ)、人の是非、自他のために失多く、得少なし。
いかなる女なりとも、明暮(あけくれ)添ひ見んには、いと心づきなく、憎かりなん。
つれづれわぶる人は、いかなる心ならん。まぎるる方(かた)なく、ただひとりあるのみこそよけれ。
人、死を憎まば、生を愛すべし。存命の喜び、日々に楽しまざらんや。愚かなる人、この楽しびを忘れて、いたづがはしく他の楽しびを求め、この財を忘れて、危く他の財(たから)を貪るには、志満つ事なし。生ける間、生を楽しまずして、死に臨みて死を恐れば、この理あるべからず。
おぼしきこと言は(わ)ぬは腹ふくるるわざ
初心の人、二つの矢を持つことなかれ。後の矢を頼みて、始めの矢に等閑の心あり。
よくわきまへたる道には、必ず口重く、問はぬ限りは言はぬこそいみじけれ。
速やかにすべきことをゆるくし、ゆるくすべきことを急ぐなり
一銭軽しと言へども、これを重ぬれば、貧しき人を富める人となす。されば、商人の一銭を惜しむ心、切なり。
病を受くることも多くは心より受く。外より来る病は少なし。