工藤勇一
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工藤勇一は、東京都の小中学校を任務先とした教育者。子どもの自律を重視した教育改革を行い、宿題、定期テスト、固定担任制などを廃止し、学習の自信を持つ子どもたちへの支援に力を入れている。
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子どもがテストで100点をとってきたとき、ただそのまま褒めると、実はその子は将来、挫折する可能性があるんですよ。(中略)結果だけに着目してほめられ続けた子どもは、100点が取れなくなった時、“自分にはこれをクリアする能力がない”と思ってしまいがちなんです。
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人と比べた点数ではなく“自分はどんな風にがんばったか”のプロセスをちゃんと聞いてもらってほめられている子どもは、たとえ、うまくいかなかくても、あぁ自分は努力不足だったなあと思えるんですよね。次はどんな工夫や努力をしようか?と気持ちを切り替えることができるんです。
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幼稚園や保育園、小学校で心の教育の象徴としてよく言われている、「みんな仲良くしなさい」という言葉があります。この言葉によって、コミュニケーションが苦手な特性を持った子どもたちは苦しい思いをしているのではないでしょうか。(中略)「人は仲良くすることが難しい」ということを伝えていくことの方が大切だと私は考えています。
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自分の伝えようとした言葉が相手に伝わらないとき、理解できない相手が悪いというのか、あるいは自分が悪いと考えるのか、ここに伝えることの本質があると考えます。どんなに上手な文章でも、伝わらなければ意味がないという訓練を子どもの頃からすることは必要だと思います。
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学校にきて学習指導要領に定められたカリキュラムをこなしても、知識を丸暗記してテストでよい点をとれるようになっても、社会でよりよく生きていけるとは限りません。この点について、私たち大人はもっと柔軟に考えられるようになっておきたいものです。
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(担任による手厚い指導を受けて)自律することを学ばない子どもは、物事がうまく行かなくなると、担任教員に責任転嫁をします。勉強が分からなければ「授業が分かりにくい」と言い、忘れ物をしたら「聞いていない」と言い訳をする。
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(組織改革では)目的と手段が一致しないものや、手段が目的化しているものは廃止・見直しをする。その上で、本来の「目的」を再確認して、最適な「手段」を再構築する。そうしたプロセスで改善を図っていくことが大切です。
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私はよく教員に、「どうでもよいことと、どうでもよくないことを、分けて叱りませんか」と話しています。どうでもよいことなら軽く注意を促せばよい。逆に、命や人権に関わること、差別や暴力といった行為には厳しく対応し、自身の言動の意味を認識させる必要があります。
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そもそも自分の目標を立てるに当たり、その目標を他人に見せる必要はありません。誰かに言われて目標を立てるものでもありません。自分が達成したい目標を、自分だけが分かる方法で、自分のタイミングで作るのがよいのですから。
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大人が先回りをして、手を掛けすぎて育てられた子どもの多くは、自律できなくなっていきます。そして、自分では解決できない問題やトラブルに直面すると、うまくいかない原因を自分以外の周りに求め、安易に他人のせいにしてしまう傾向があるように思います。
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学校においては、子どもたちが立てる目標は、ややもすると「立てただけで終わり」のスローガン的になりがちです。教員の中には、「目標を立てる」こと自体に価値があると思ってしまう人もいますが、それこそが「手段の目的化」です。
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学校は(学校という場所で)子どもに学びたいという気持ちをどのように持たせてあげられるか、一人ひとりの学びをいかに保障するかを徹底的に考えなくてはいけません。もしそれができないのであれば、別の方法で(=学校外で)学ばせてあげればよいのです。
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学校でしっかりと勉強をして、家では、好きな音楽を聴いたり、本を読んだり、スポーツをしたり、あるいは、ぼんやりと思索する。そうした時間の中で、自分自身の内面や思考が整理され、大切なことに気付いたり、思い付いたりすることは、たくさんあるに違いありません。