トルストイ
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レフ・ニコラエヴィチ・トルストイは、ロシアの19世紀の文豪で、作家として『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』などの佳作を残した。また、社会・政治にも大きな影響を与えた非暴力主義者としても知られる。伯爵家の四男としてヘレングリッツ公立高校を卒業し、ロシア出身の男性である。
死が、我々、皆のもとにやってくるということほど、確かなものはない。死は、「明日という日を迎える」ことよりも、「昼の次には夜になる」ということよりも、「夏が終わると冬が来る」ということよりも、確実なのである。我々は、明日に備え、夜に備え、冬に備えるというのに、なぜ、死には備えないのだろう。死にも備えねばならない。
人間は奴隷でなければならない。ただ、人間にとって選択しなければならないのは、誰の奴隷であるかということである。自己の情欲の奴隷であれば、それは人間の奴隷である。自己の精神的本源の奴隷であれば、それはただ神の奴隷であるにすぎない。
人間が死んだり、金銭を失ったり、家がないとか、財産がないとかいうことが、哀れなのではない。なぜなら、これらすべてのものは、人間にもともと備わっているものではないからだ。人間は、自分の本来の財産、最高の財産、すなわち「愛するという才能」を失った時が、哀れなのである。
学問のある人とは、本を読んで多くのことを知っている人である。教養のある人とは、その時代に最も広がっている知識やマナーをすっかり心得ている人である。そして有徳の人とは、自分の人生の意義を理解している人である。
外界を認識する方法は二つある。一つは、五感を通しての最も粗野で、しかも不可避の方法である。この方法から得られるのはカオス(混沌)である。もう一つは、自らに対する愛を通して自らを認識し、更に他に対する愛を通して他の存在を認識し、他の人、動物、植物、また石にまでも思いを致していく方法である。この方法をもってすると──全世界を創造することができる。