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志賀直哉

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日本の小説家、志賀直哉は1883年(明治16年)2月20日に宮城県石巻に生まれ、父は宮城県第一銀行石巻支店に勤務していた伊勢亀山藩の家臣であった母からの継承者として育てられた。明治から昭和にかけて活躍した編集、文芸、研究など多岐に渡って活躍し、多くの日本人作家に影響を与えた「小説の神様」と称えられる一人となり、1949年に文化勲章を受章した。

お嫁に行けるような、ひとりまえのからだになった時、女は一ばん美しい。
仕事は手段にあらずして目的だ。
過去は過去として葬らしめよ。
読んだだけ、聞いただけがただ残っていくという意味の物知りがいる。これは知恵というものにはならない。
仕事は目的である。仕事をはっきりした目的と思ってやっているやつにとって、結果はたいした問題ではない。
自己を熱望せよ。
自由な、調和のとれた、何気ない、殊(こと)に何気ないといふ事は日常生活で一番望ましい気がしている。
自己嫌悪がないという事は、その人が自己を熱愛する事のない証拠である。自己に冷淡であるからだ。
金は食って行けさえすればいい程度に取り、喜びを自分の仕事の中に求めるようにすべきだ。
一つの考えというものは正しいか正しくないかだけでは評価出来ない。
取らねばならぬ経過は泣いても笑っても取るのが本統だ。
素人か玄人かは其(その)仕事に対する作者の打ち込み方の相違だ。
正しく書く事によって初めて考えをより明瞭にかつ確実にすることが出来る。
大地を一歩一歩踏みつけて、手を振って、いい気分で、進まねばならぬ。急がずに、休まずに。
人知におもいあがっている人間はいつかそのためむごい罰をこうむる事があるのではなかろうか。
仕事というものは結果からいえばその人の生活手段であるが、手段だと思ってその仕事をすることは悪い。仕事は目的である。
幸福というものは受けるべきもので、求めるべき性質のものではない。求めて得られるものは幸福にあらずして快楽なり。
下らなく過ごしても一生、苦しんで過ごしても一生だ。苦しんで生々(いきいき)と暮らすべきだ。
(猫というのは)寝心地がよさそうだと思えば知らない人の膝でも平気で這上って来る。こういう身勝手な性質を私は好まないのだが、猫好きが猫を讃(ほ)める時には、よくこの性質をも一緒に讃めている。
偉(すぐ)れた人間の仕事──する事、言う事、書く事、何でもいいが、それに触れるのは実に愉快なものだ。