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井上礼之

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井上 礼之(いのうえ のりゆき)は、日本の実業家。ダイキン工業の取締役会長兼社長を務めたことで、企業が世界トップクラスの空調機メーカーへと成長した祖として知られています。彼は、1935年3月17日に京都市で生まれました。同志社中学校・高校・大学を経て、大阪金属工業(現ダイキン工業)に入社。人事部長を経て、1979年に取締役に昇格。1995年に取締役会長兼社長に就任し、2002年にはグローバルグループ代表執行役員になりました。

自主経営を貫くが、自前主義には執着しない。自主経営とは、「ありたい姿」や「あるべき姿」を従業員と共有しながら、経営者が戦略の実行局面で幅広い選択肢を持って、主体的に意思決定できることを指します。
突発的で劇的な変化が多発する乱世に生き残るためには、外部環境の変化にいかに適応できるかがカギとなってくる。いわば突然変異種をどれだけ持っているかが、企業の新たな発展の大きな力になる。
給料を上げないなら納得できる理由を示せるか。こういうことをすれば給料が上がるというキャリアパス、サクセスストーリーを明快に示せるかどうかです。
社員がやりがいを持って働き、持てる力を最大限発揮できる「場」を提供することが経営者の使命である。
(企業を)買ってから良くするのが経営力であって、それができなかったら自分自身の責任を問うたらいい。
経営者は大きく分けて、ぐいぐい引っ張っていく集権型と、個人の力を重視し自由奔放に仕事をさせていく分権型リーダーがあるが、どちらか片方の能力に偏っていては駄目だ。状況に応じてバランスを上手に取り、意思決定できるのが変革型のリーダーだ。
日本のモノ作りの強みは従来、設計から製造に至る工程で部門間が連携して品質改善などに取り組む「すり合わせ技術」において発揮されてきました。デジタル家電など標準タイプの部品を集めて組み立てる「組み合わせ技術」の製品が苦戦する一方で、自動車や工作機械などすり合わせ技術が生きる業種では、日本は強みを維持しています。
他人のフィルターを通さず、自分の目で現場を見て情報を集めれば、自然と直観力は磨かれていきます。
あるところでは自前主義に徹底的にこだわって差異化を追求する。また、別のところではM&Aや提携によって足りないところを補う。自主経営とは、こうした経営判断を自由自在に使い分けていくことです。
「こうだからこうで」「こうだからこうすべき」というのは(=理屈で説明できることは)、ほとんどスタッフやほかの役員で決められることだ。答えが出ないことこそ、トップが決めないといけない。自信がない決断かもしれないが、決めなかったらみんなが困る。
営業力も技術力も結局は人。仕事は人と人の谷間にあって、人を活かしていかないと企業経営は成り立たない。
(答えのないものに対しては)半歩先に方向性を決める。戦略はまだ十分に練っていないので、現実がどうなのかを実行しながら、現場の波打ち際にトップも一緒に出て、現場の変化をとらえる。これは違っているなと思ったら、決めた戦略の方向性を現場で即変えていく。その柔軟性がなかったら、答えのないものに答えを出せない。
あなた方のような人が(我が社に)おらんから買収したのであって、あなた方がやってくれないと困る。最低5年はおるとの約束やなかったら買収しない。
世界で通用するリーダーを育てるには、とにかく「修羅場を多く踏ませる」ことに尽きる。
パラダイム転換の時代に求められているのは「答えのわからないことを決められるリーダー」だ。これまでのように、ケーススタディや過去の経験を積み上げてロジカルに考えても、正しい答えを導き出すことは難しい。
経済や社会が急速に変化するときに、戦略(を立てるのに)に時間をかけていたら、できあがったその戦略は、必要なときにはもう遅れてしまっている。だから、だいたいの方向性が出たらすぐに実行に入る。
M&Aや提携、連携では、他社の力をうまく取り込み、自らの力とする視点が欠かせません。異質なものを組織に取り込むことで、変化に対する柔軟性が広がるとともに、こうした交流から新たな企業文化や価値が生まれ、それが強みとなるのです。
実行の現場の波打ち際にトップも入り込んで、戦略を柔軟に変更していかないと(経済や社会の変化に)間に合わない。
M&Aは「時を買う」「人を買う」「機会・場、人材育成の場を買う」。特に「時を買う」「人を買う」を重視している。自前主義では限界がある。自前で人を雇うこともあるが、それでは間に合わない。
「一流の戦略、二流の実行力」と「一流の実行力、二流の戦略」だったら、「一流の実行力、二流の戦略」を重んじる。
(経営者の役割とは)ほとんど答えがない、みんなが答えを出せないで迷っているところを「こうする」と決めることだ。何も理論的根拠はないけど、「こうする」と言うことで、「決断」「判断」が速くなり、結果としてタイミングがよかった、というのがある。
技術革新は一見異質なものをぶつけ合ったり、組み合わせたりする中から生み出される場合が少なくない。
少々無理はあっても、これからのダイキンを担う人材を抜擢して買収先の国外企業に送り込むという判断は間違っていませんでした。(彼らは直接異文化に触れ、グローバル人材として成長し、)さらに彼らが抜けた国内の部署では、その役割を引き継いだ次の人材が成長するという効果が得られました。「M&Aで時間と人を買う」と同時に、「人材育成の場を買う」とも言えるかもしれません。
自前主義では限界がある。自前で人を雇うこともあるが、それでは間に合わない。コンペティターに半歩、一歩リードするためには、買収や提携で時を買う。
私は最近、「π字型」の人材という言葉をよく使っています。何かひとつの専門領域を掘り下げるのが「I字型」で、幅広い知識とひとつの専門領域を持つのが「T字型」。そのT字型に、もうひとつ異なる専門分野を別に持っているのが「π字型」の人材です。複数の専門領域を通じた複眼的な思考ができると、技術革新や商品開発につながりやすい。
「国や地域ごとに異なる市場のニーズを察知し、それに合った商品を提供すること」「コスト面で競合他社と戦えること」「需要に応じて生産し、品切れや供給過剰を生じさせないこと」。そして、それぞれの生産拠点で徹底的に「現地化」を深めなければ、競合相手に勝てません。
フェース・トゥ・フェースのコミュニケーションを基本に、しっかりとした人間関係を築いていくことが、一見遠回りに見えるかもしれませんが、「ポストM&A(買収の次)」で組織を動かしていく要諦だと思います。
(企業買収で)皆に徹底しているのは、どんな会社でも歴史があり、企業文化があるということ。その企業文化を絶対に侵さないようにしないといかん。
大化けするのが人。人・物・金と言うが、物や金は化けない。人はとんでもない力を発揮する可能性がある。
乱世に強い人材は、上手に修羅場を経験させると恐ろしいほどの力を発揮します。過去の評価に関係なく、いかにそんな人材に目をつけられるか。平時のポジションではただの「うつけ」でも、状況が変わればとんでもないことをやりそうだという人材を常日頃からチェックしておき、ここぞというときに適材適所の修羅場に放り込むのです。
会社の人事制度や処遇は一律だが、本当は一人一人違う。一人一人の対応を考えていく。その対応を間違えたら不満を持たせてしまう。
協調性があるとか、無難に立ち回る人間の評価ばかり高くなる組織になったらいけません。まずはどんな人材がいるのか探索しておき、しかるべき時期が来たら、ここぞという場所に配置するのです。
実行の徹底に不可欠な納得性を高めるには、リーダーが現場の第一線に入り込み、社員の声を聞き、侃々諤々の議論をしたうえで、意思決定をすることが重要です。当社は現場の現実を背景とした決断をリーダーに求めています。
やってみないとわからないことがこうした変化の時代では多い。それなのに意思決定に時間をかけるのは大企業病だ。(中略)実行しながら修正していけばいい。
自らの技能への自負や誇り、同じ価値観を共有する社員同士としての連帯感や一体感、そこから生まれる師弟関係やライバル関係。こういったもろもろのものが渾然一体となって、特有のモノ作り文化になっていく。