アンドレ・モーロア
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アンドレ・モーロワは、フランスの小説家、伝記作者、評論家である。1885年7月26日、ノルマンディー地方エルブーフ Elbeuf に生まれた。第一次世界大戦には英語通訳官として出征し、その後ルーアンのコルネイユ高等学校(Lycée Corneille, Lycée Pierre-Corneille)を卒業。処女作『ブランブル大佐の沈黙 Les silences du colonel Bramble』からアランの哲学の通俗化を基本としつつ、広い教養、穏健な良識、柔軟な文体で小説、歴史、評論、伝記を書き、フランスの文壇で知られるようになった。
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意志も、人間が行動する瞬間からしか、なすすべを知らない。それは航行の場合でよく分かる通りである。動かないでいる船は操縦できない。一つの動きによって操縦可能な力が生じて、初めて舵(かじ)もきくようになる。
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物わかりのよい夫は、決して腹を立てることがない。暴風雨の真っただ中にいる船乗りと同じように、こういう夫は帆綱(ほづな)をゆるめるのである。様子を見ている。いずれそのうちに凪(なぎ)が来るだろうと思っている。