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朝井リョウ

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朝井リョウは、日本の小説家であり、2013年に『何者』で第148回直木三十五賞を受賞した。岐阜県不破郡垂井町出身で、早稲田大学文化構想学部を卒業。2009年に『桐島、部活やめるってよ』でデビューし、2012年にはこの作品が映画化された。2012年には『もういちど生まれる』で第147回直木三十五賞候補になっている。

世の中が便利になるというのはつまり、効率や有用性、生産性がますます重要な物差しとして機能するということです。その中で人間だけが「ありのままでいい」という精神状態を保つというのは、実は相当の思考や胆力が求められる難しい営みだと思うんです。
少し前、日本では、人命や性的指向を生産性で測るような政治家の発言が話題になりました。国民の反応はネガティブなものが圧倒的に多かったですが、それは私も含めて、他者を「生産性」という目盛りで測っている部分が少なからずあるからだと思うんです。
誰もがありのままでいいと叫ばれる時代に生きながら自分を誰かと比べ続けてしまう苦しみ、自分で自分の意義や価値をジャッジし続ける行為は、心の内側から腐っていくというか、外から見ても傷の在り処がよくわからないんですよね。だから、若者が吐露する辛さは時に、甘えのようにも見えてしまう。
あなたはそのままでいい、ありのまま生きているだけでいいと言われても、いつしか目に見えない毒素のようなものが体内に溜まっていく。