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苫野一徳

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苫野一徳(とまのいっとく)は、日本の哲学者、教育学者であり、熊本大学大学院教育学研究科・教育学部准教授です。博士(教育学)で兵庫県出身。関西学院中学部、関西学院高等部、早稲田大学教育学部卒業後、同大学院教育学研究科修士課程・博士課程修了し、早稲田大学教育学部助手、日本学術振興会特別研究員(PD)などを経て現職に就きました。市村尚久、竹田青嗣らに師事するなど専門は哲学、教育学に加えて、2011年、『エマソンにおける「個」の概念:現代思想からの再評価を基に』で早稲田大学より博士(教育学)を取得。2017年、一般財団法人軽井沢風越学園設立準備財団の理事・共同発起人に就任し、2020年に幼・小・中一貫の軽井沢風越学園を開校予定であることを発表し、2019〜2020年には学校法人軽井沢風越学園理事を務め、2020年より熊本市教育委員、2021年より経済産業省 産業構造審議会「教育イノベーション小委員会」委員としても活躍中です。

「評価」は学習状況の見取りのこと。子どもたちが今何をどの程度達成しているかを見取ることです。他方の「評定」は、成績づけのことです。この「評定」を、私はそろそろ廃止すべきだと考えています。
序列化や点数評価が、子どもたちの学びにとって多くの場合逆効果であることは、さまざまな研究によって明らかにされています。評価を気にすると、子どもたちは学びそれ自体を楽しめなくなってしまうのです。もっと言えば、この点数評価のために、勉強が嫌いになってしまう子どもも少なくないのです。
(義務教育段階における学校での)テストは、(序列化のためのものではなく)子どもたちの学びの過程をモニターし、教育や学習の改善につなげるためのものである。
能力測定にはあいまいさと恣意性が避けられない。80点の子と85 点の子との間に、一体どれだけ実質的な差があると言えるのか。また、何をもって“ 能力”があるとするかも、大きく恣意性が働かざるを得ない。
質の高い学びのために、点数評価は多くの場合逆効果である。学びに成績がからむと、私たちは実りある学び以上に、楽をしていい成績を取ることを考えるようになる。
学生たちによく推める読書法は、まずはとにかく興味のある新書レベルの本を手当たり次第に読みまくる。続いて、特に興味のあるテーマが見つかれば、そのテーマについての本を集中的に読みまくる。投網漁法から一本釣り漁法へ。あるテーマについて20冊くらい読めば、ちょっとした専門家になれる。
多くの心理学の研究では、賞罰を使ったパフォーマンス管理は、むしろ逆効果であることが明らかにされています。「これができればあれをあげるよ」や、「これができなければあれを取り上げるよ」という行動管理は、「これ」自体の喜びを著しく失わせ、「あれ」のための手段に貶(おとし)めてしまうからです。
評定がある限り、保護者も子どもも、さらには先生たちでさえ、序列化としてのテストという考えからどうしても逃れられない。